読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

鈴木智彦『潜入ルポ ヤクザの修羅場』『ヤクザと原発 福島第一潜入記』

どちらも,ルポライタである筆者の苦労話という感じ.

『潜入ルポ ヤクザの修羅場』は,新宿や西成に住居を構えて暴力団員との繋がりを作り,信用を得ることで他のマスコミには見せない彼らの素に迫っている.普段縁のない世界でどういうグループがあって,どういうことで儲けていて,警察や地域の住民はどう思っていて...などなど,何もかも新鮮で面白かった.筆者もライターとして記事を書く「ヤクザ専門誌」が複数存在していることに,まず驚いてしまった!

一番印象に残ったのは賭博場に潜入したエピソード.場所の雰囲気から人の様子,「手本引」というゲーム,何から何まで映画やテレビの中の世界という感じ.日本国内でこんなことをやってるんか,と.

また,愚連隊の加納貢を雑誌連載のネタとして持ち上げたエピソードも,彼の最期まで含めて興味深い.

潜入ルポ ヤクザの修羅場 (文春新書)

潜入ルポ ヤクザの修羅場 (文春新書)

 

【目次】

序 章 山口組 vs. 警察

第一章 ヤクザマンション物語

第二章 ヤクザ専門誌の世界

第三章 愚連隊の帝王・加納貢

第四章 西成ディープウェスト

終 章 暴力団と暴力団専門ライターの未来

あとがき

 

上記の本が新書として出版された数カ月後に,東日本大震災は起こる.暴力団自体が斜陽産業ということもあり,「ヤクザと原発」は筆者にとっても格好のネタだ.『ヤクザと原発 福島第一潜入記』は,震災後の福島第一原子力発電所に下っ端の作業員として潜入し,1ヶ月ほど働きながら内部や周辺地域を取材した話.取材後の話(第五章)で書いているが,今回の潜入取材でヤクザと原発との関係を明確にすることはできなかったようだ.いや,まったくないわけではない,むしろそういう人たちで成り立っているわけだが,ほぼ予想の範疇であった.ヤクザに関して筆者の立場は中立を維持しており,さすがプロのライタといったところ.この本を読んで社会の仕組みを知ると「必要悪」なのかな,と考えてしまう.それと,別に原発だけじゃなくて,火力や水力,化学プラントだって,そうなんよ,って書かれてました.ちょっと考えてしまいます.一方で,偽名を使わずに安々とマスコミに潜入される電力会社の管理体制やテロ対策が心配. 

ヤクザと原発 福島第一潜入記

ヤクザと原発 福島第一潜入記

 

【目次】 

序 章 ヤクザの告白「原発はどでかいシノギ」

第一章 私はなぜ原発作業員となったのか

第二章 放射能vs.暴力団専門ライター

第三章 フクシマ50が明かす「3・11」の死闘

第四章 ついに潜入!1Fという修羅場

第五章 原発稼業の懲りない面々

終 章 「ヤクザと原発」の落とし前