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水島昇『細胞が自分を食べるオートファジーの謎』

「自分(Auto)」+「食べる(phagy)」でオートファジーというまだまだ謎に包まれた細胞内の現象について,現在(2011年)までにわかったきたことが簡潔にまとまっている.高校の生物をほとんど寝ていた僕にもわかったのだから,専門外の人にも理解できるだろう.良書.

主役は,細胞質の中にいる「リソソーム」.生物の教科書にも出て来る丸っこいヤツ.こいつの中にはなんでも分解してしまう消化酵素が入っていて,細胞質内のタンパク質(例えば,ミトコンドリア)をアミノ酸にしてしまうのだ.こうやって自分を食べるのが,オートファジー.こんな現象があることを知ること自体が,面白いですね.

では,なんでこんなことをする必要があるのか?

・飢餓のときの栄養源として(第3章)

・発生の過程で細胞内を入れ替えるため(第4章)

・細胞内をキレイに保つための掃除係(第5章)

・細菌やウイルスを撃退する免疫として(第7章)

どうやら身体の中ではオートファジーが大活躍しているらしい.しかし,解明されていない謎もある(第8章).リソソームに細胞質を運ぶ役割をする膜(オートファゴソーム)が突然発生するのだが,そもそもその発生メカニズムがわかっていないようだ.なんとも興味深い.

この研究の成果が人々の生活(医学の分野)にどのように影響を与えるかわからないけれど,僕にとっては単純に面白い現象だったので今後研究に注目したい.

 

細胞が自分を食べる オートファジーの謎 (PHPサイエンス・ワールド新書)

細胞が自分を食べる オートファジーの謎 (PHPサイエンス・ワールド新書)

 

 

【目次】

はじめに

第1章 オートファジー、細胞内の大規模分解系

第2章 酵母でブレークしたオートファジー研究

第3章 自分を食べて飢餓に耐える

第4章 細胞の性質を変えるためのオートファジー

第5章 細胞内を浄化するオートファジー

第6章 相手をねらいうちする「選択的オートファジー」

第7章 免疫系でも活躍するオートファジー

第8章 オートファジーの研究最前線

あとがき