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長沼毅『死なないやつら 極限から考える「生命とは何か」』

「生命とは何か」とは何か?というメタ的な視点から,生命を考えた本.キーワードは,「極限」「進化」「遺伝子」.具体的な例から抽象的な論説まで上り詰めていく,科学のお手本のようで,生物が苦手だった僕でも学問としての面白さがわかった気がした.

地球には,高温や低温,無酸素,高圧,放射線などの極限環境にも耐えうる生物が存在する.地球上ではありえない重力にも耐えるものもいる.そんな環境にもどうして「生命」は存在する(できる)んだろうか?

また,遺伝子の突然変位と「環境圧」によって進化してきた生物たち.キリンの首が長い理由を「高い所の草を食べるため」と説明したくなるくらい,生物の身体の工夫は優れている.

遺伝子を運ぶキャリアとしての「生命」の話も面白かった.単細胞として生きていれば死ぬことはなかったけれど,多細胞生物として身体の「死」を選択しながらも環境に適応して遺伝子を後世に残すことを選んだ,ようにも見える.そして,現在,人類は「遺伝子」をコントロールする力を持っている.だからこそ,どんな遺伝子を残すべきか,を考える段階に来ている.

5章の散逸構造としての生物という見方は,僕にとって初めて知ることだったので非常に興味深かった.宇宙はエントロピーが増大するようにに,まっ平らになるように進んでいる.その中での生命は「渦」のようなもので,その存在によってエントロピーの増加は加速されているのだ.なんとも切ない話ではないか.

また,地球という惑星に「生物」が発生する確率を宝くじに例えて,そしてそれを膨大な時間で「全部買い」したというのも面白い説だと思った.地球に生命が誕生したことを「偶然」「奇跡」というけれど,一方でこういう考えもあるのだなぁ.

死なないやつら (ブルーバックス)

死なないやつら (ブルーバックス)

 

 【目次】

第1章 「生命とは何か」とは何か

第2章 極限生物からみた生命

第3章 進化とは何か

第4章 遺伝子からみた生命

第5章 宇宙にとって生命とは何か

 

 

「極限環境」関連で,人間の限界を知りたいのであれば,こちらの本がオススメ. 

人間はどこまで耐えられるのか (河出文庫)

人間はどこまで耐えられるのか (河出文庫)