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サン=テグジュペリ『夜間飛行』

南米の郵便飛行を行う会社の社長,パイロット,監督官の物語.

一番の主人公は社長だろう.彼は,部下を鼓舞し活気を与え,パイロットを勇敢に空へと立ち向かわせ,監督官に部下の小さなミスの処罰を強いる.その行動は行き過ぎているように思うのだが,これにも理由がある.この事業がパイオニアで,船や鉄道に対抗するには夜間飛行をしなければ勝てないのである.そして,飛行機の運行は,特に夜間は,自然との戦いなのである.そのために,彼は冷徹に振る舞うのだ.

物語の中でパイロットが雷雲に巻き込まれてしまうのだが,地上にいる社員の気持ちと社長の落胆は次元が違うように見える.この社長だけが,飛行による「勝ち負け」の先を見ている.

夜間飛行 (光文社古典新訳文庫)

夜間飛行 (光文社古典新訳文庫)

 

 読みながら「こういう度の過ぎるリーダってどこかにいたなぁ...」と考えていたが,アレだ,Appleスティーブ・ジョブズだ.彼もやはりパイオニアとして,こういう風に会社を率いていたんだよなぁ.お手本にはならないが,こういう人物は離れて見ている分には面白い.そうだ,積読の『スティーブ・ジョブズ』をそろそろ読もう.