西加奈子『円卓』

公団住宅に家族8人で住む渦原家.その末っ子「こっこ」は孤独に憧れる小学3年生.平々凡々な家族は「こっこ」にとっては不満の種.友人の吃音も,眼帯も,不整脈も「こっこ」にとっては憧れの的.夏.ひと夏で「こっこ」は何を思い,何を悟る.言葉にならない渦々とした何かはきっと,成長.

円卓 (文春文庫)

円卓 (文春文庫)

 

 西さんの書く関西弁と日本語のリズムが,相変わらず心地よい.場面が切り替わるところの最後の地の文は,毎回口に出して読みたくなる.例えば,この1文とか.

空は青く、雨の気配微塵もなく、もうすぐ夏である。きらきら。(P59)

西さんらしく,今回も主人公の内面の変化を書いている.黙々と大人への変化.