堀江貴文『刑務所わず。 塀の中では言えないホントの話』

堀江貴文氏の1年8ヶ月間に渡る刑務所生活のラスト数ヶ月の日記.『刑務所なう。』『刑務所なう。シーズン2』と本書を合わせて3部作らしい.獄中生活はきっと誰でも多少は興味あることで,自身が収監されることを良いことに,日々の生活と時事ネタを有料メルマガでリアルタイムで配信するなんて,毎度のことながら面白いことを考えますよね.本書は,それをまとめたもので,検閲で書けなかったことも書かれているらしい.

 

 

理不尽に厳しくて,意味のないことを延々とやらされ,怖い人達に囲まれながらの生活を想像していたけれど,本書を読むと少し拍子抜けしてしまうくらいだ.まず,当然のだが「意味のないこと」なんかではなく,受刑者はいろんな仕事を与えられる.ゴルフのピン(?)とか果物のネットとかを作る仕事である.堀江さんは「我が社」と呼んでいたし,自身も「社長」と呼ばれていた.作業報酬(月々5000円と少し)も出るようで,堀江さんはその10倍の額を栄村に毎月寄付していた.一方で,パソコンなどのデジタル機器がないために非効率な作業があったり,組織が体育会系で上下関係が厳しかったりする面もあって,ストレスフルな生活だっただろう.

仕事と食事,睡眠だけの生活ではなく,意外にもお菓子と映画,朝ドラに関する話題が多いし(逆に言えば,ほとんどの楽しみはそれだけなのだが),勉強や読書の時間も取れるようで,悪く無いじゃんとも思えてしまう.なんて印象を持ってしまうのは,生活に慣れた時期だからであって,収監直後の『刑務所なう。』を読んでみるとまた違うのかもしれない.あとがきにもそんなことが書かれていた.

 

刑務所なう。 完全版 (文春文庫)

刑務所なう。 完全版 (文春文庫)

 

 

人について言えば,周りの受刑者の人は,ちょっと変わった特徴が描写されながらもごく普通の人.刑務官も(理不尽に)厳しそうなイメージがあったけれど,普通の人で世間話をしたりもする.漫画や映画を基に想像されるイメージとは違っていて,逆に現実味がある.それと暴力団関係の人がその刑務所にはいなかったというのもありそう.また,外からは様々な著名人が面会に訪れており,2ちゃんねるの元管理人のひろゆき氏や茂木健一郎氏などとの会話も掲載されている.このような面会人や日記のネタからも交友関係が伺えるし,刑務所での生活ではそれが支えになるらしい.
非日常的な生活を覗いてみるには良い本で,おもしろかった.