『岸辺露伴は動かない 短編小説集 (1) (2)』

ウルトラジャンプ2017年8月,9月号の特別付録.4人の作家による5編の短編小説で,どれも歴とした『岸辺露伴は動かない』で面白かった.『岸辺露伴は〜』は,荒木飛呂彦ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』に登場する岸辺露伴が主人公のスピンオフ短編漫画.

 

岸辺露伴は動かない (ジャンプコミックス)

岸辺露伴は動かない (ジャンプコミックス)

 

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この漫画の原作時点で,以下の型(パターン,フォーマット)が出来上がっていて,短編小説もそれに倣っている.

  1. 漫画家の岸辺露伴が,ある人物から<奇妙なエピソード>を語られたり,<不可思議なアイテム>を見せられたりする.
  2. 危険で怪しい雰囲気を感じながらも,漫画家としての<リアリティ>を追求する好奇心を抑えられず,露伴は調査にのめり込んでしまう.
  3. 調査が進むうちに常識を超えた<超常現象のような何か>が働いていることが明らかになるが,露伴自身もその何かに巻き込まれ絶対絶命の危機に陥る.
  4. スタンド<ヘブンズ・ドアー>を使って相手や自分を本にし,記述を読んだり書き込んだり,剥がしたりすることで,その危機から逃れて一件落着.

この型で語られる面白さのポイントは,<超常現象のような何か>の真相が解明されたときのカタルシス,そして,危機をその場の咄嗟のアイデアでスタンドを使って解決する爽快感だろう.5編の短編小説でも,その面白さは引き継がれていて,そこが作家の腕の見せ所であり,歴とした『岸辺露伴は〜』だと感じたのである.それと,あくまでも危機から逃れるだけで,現象そのものは今もどこかに存在する(本編でのスタンド使いの敵を倒すようなことはしない),根本的な謎は謎のままで,もしかしたら読者のあなたも遭遇するかもしれないという不気味さも,良いあと味を出している.テレビ番組だと『世にも奇妙な物語』みたいな感じだろうか(見たことないけど).原作漫画が好きな方は,小説も読んでみては.月刊誌のオマケだから,購入はお早めに.

 

短編小説集(1)
・北國ばらっど『幸福の箱』
・北國ばらっど『くしゃがら』
・吉上亮『Blackstar.』

ウルトラジャンプ 2017年 08 月号 [雑誌]
 


短編小説集(2)
・維羽裕介『検閲方程式』
・宮本深礼『夕柳台』 

ウルトラジャンプ 2017年 09 月号 [雑誌]
 

 

 

5編の中で一番好きなエピソードは,『夕柳台』.